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『磨耗人形』

もっと 自由に振る舞えば
良かった…

棚の片隅で
汚いお人形が笑う

言われるまま
期待されるまま
振る舞い続けた

その代償は
劣化という悲しいもの

壊れているのは
誰のせいでもない

ただ
磨耗しただけさ

でもね
これだけは言わせて

―まだ出来るよ

―まだ大丈夫だよ

どこから来るのか解らない
そんな台詞

それでも
彼女は
主人の温もりを欲す

もう一度
抱いておくれよ

もう一度
褒めておくれよ

無意味な笑みを浮かべ

ただ
ぼんやりと空を見る

壊れているのは
外形だけじゃないよ

中身だよ…

『独りきりのワルツ』

ボクの
肩を 腕を 腰を
抱いているものは何?

聞いた事もないメロディ

一歩 また一歩
ステップを踏んでいる

独りきりで踊るワルツ

まるで
見えない誰かに
抱かれているようだ

ボクに
まとわりつく
この不快な気持ちは何?

身体中を駆け抜けては

嫌悪に沈み

悲しみに暮れる

痛みを知って
いつしか
ズルさを覚えた

そうやって
命を守る形をみつけた

詩を歌いながら

気が付いたら
温かい何かに触れていた

それでも
嗚呼 何でだろう?

ボクの
肩を 腕を 腰を
抱いているものは何?

ボクに
まとわりつく
この不快な気持ちは何?

ボクは
誰より知っているんだ

それは
不安だったんだ と。

『足跡、点々』

雪の花

一片 二片と
あの日を彩りながら
空に舞え

歩いて来た道を
振り返った時に気付いた

私の足跡は
弱々しくも

点々 点々

続いていた

強くはなれたか?
ズルくはなれたか?
上手くはなれたか?

点々 点々

続いている道に思う

何かは無くした

大切な何かだ

優しさなのか
柔らかさなのか
美しさなのか

それでも

点々 点々

もう
戻ろうとは思わない

思えない程
遠くに来たんだ

ただ
後悔はしない

それだけは
変わらないでいようと

思うのです

点々 点々
点々 点々

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