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『千の瞬』

千と一夜を語り尽くした
シェハラザード様へ

千を詩い尽くした
詩姫でございます

声は有りませんで
歌姫には
成れませんでした

白の衣を纏いまして

月夜を歩いております

月は
いつの日も
天より
見下ろしておりますね

貴女には
見えましたでしょうか?

砂漠に魚が泳ぐ日に

王者の椅子に
ブリキのバケツ
乗せました

ウサギが飛んだから
羽をむしってやりました

シェハラザード様

王様のご機嫌
いかがでしょうか?

真珠を繋いで
豚を繋いでおきました

猫に念仏
馬には小判

たくさん与えて
イヒヒと笑う

老婆が若人に抱かれた晩は
蛇に足が生えましょう

私より
きっと速く走るでしょう

船を山に浮かべたら

逆様の螺旋階段
誰かが駆け落ちて行く

屠殺した鶏は
元気に走り回っています

嘘も方便

本当なんて
どこにあるのか

仮面をいくつか剥がしても

私は私の仮面です

親愛なる
語りのシェハラザード様へ






P.S

蛇は
天に焦がれたまま

焼け爛れて
干からびました

眼はグッと
空を見たまま

空を睨んだまま

これが
皮か本体かは

自分の眼で
確かめて下さいますように



清呑

『Do you remember...』

I Have a dream...

小さな頃に
教わった言葉

遠い国の
人種すら違う人が
告げた言葉

あの日
小さな奇跡が与えた
僅かな光は

ボクに

夢を与えてくれた…

I have a dream.

胸が張り裂けそうな程
空高く叫ぶよ

現実に裏切られ
限界に切り裂かれた

ボクに
夢を与えたのは
アナタでした…

初秋のとある日

隠れ家みたいな
ボクらの時間

緩やかな時の中…

サイフォンの音だけ
忘れられずに
今でもボクは探してる

あの日

アナタが語った夢は
今でもボクに生きている

I have a dream.

アナタとなら

I have a dream.

叶えられるよ…

「小さくて良いから…」
「…唯一の…を…ココで」

覚えていますか?

戯れの言葉さえ
ボクには道標で

歩いた道を変えてでも
アナタと…叶えたくて

I have a dream.

声高に叫ぶよ

そして何より…

I want to Love.

You can help me...

アナタの隣を歩いてた
傘の下では
笑えてた

人混みを掻き分ける理由は
アナタでした

苦手に飛び込む勇気は
アナタでした

失いし人の心は
あまりに愛し過ぎたから

忘れる事も出来なくて

I have a dream!

空に叫ぶよ

アナタと共に
笑いたいのに

I still have a dream!

アナタが居なくちゃ
叶わないのに

『天井染み』

どこかにいきたかった…

でもボクは
どこにもいけないんだ…

知った時
それは それは哀しかった

続く道の上で立ち止まる


嫌がってばかりの道だから
止まった方が
幸せなんだ

Answerを探して
歌を呟く

探してみても
何も無いけれど

黙っていられず
呟いて昇華

人生は孤独だなんて
そんな大人になりたくない

だけど
やはり自分は一人きり

歩幅合わせる人もない

自分を犠牲にしてみたが
自分の幸せには成らず

だれかの幸せに成っても
感謝一つされはしない

立ち止まった道の上でも
癒される事はない

次々襲い来る恐怖
切迫しては
自分の内側を傷付ける

全く

どれ程 自分に謝れば
自分に犯した罪は消える?

躰の中心にある臓器が
金切り声上げ泣いていた

聞かないフリして
天井を見ていた

涙が自然に落ちても

人が来たなら知らぬフリ

居場所は無いよ

…作れないから…

人は言う

自分から…しなさい

食わず嫌いではなく
食べて嫌いになったって

誰にも理解されないんだよ

白と黒のチェスボード

Kingでも無いのに
一人で立ってる

終わらないゲームに
苦しんでいる

夢を見たって
不安でしかない

堕ちて来た朝を
思い出せずに

歓喜の声すら
忘れてしまった



いきたかった場所は
もうどこにも無いんだろ

いける場所は
限られている

涙は何かを減らそうと
自然と頬を伝うけど

内から溢れる感情の方が
なかなかどうして
多過ぎるから

私は今夜も
笑えない

『鉛の女王』

―鏡に映った姿を
―もう姫とは
―呼べない

あの頃の私しは
可愛かったと
自分でも思うわ…

女王は
小首を傾げで呟く

小さな事に感動しては

笑って 泣いて
喜んで 憤って
おどけた

コロコロ表情を変えては
気持ちのままに
表情を作れた

知らなかったわ…

私しは
いつ大人になったの…?

数々の気持ちを隠して
嘘を吐いてる

泣くのを堪え
怒りを押さえ
喜びに幅を決めて
笑いを忘れた

優しいと評判だわ…

大らかだと好評だわ…

だけどね 違うの

自分を犠牲にする事を
周りに当然とされたのよ

怒るタイミングも熱意も
周りに滅ぼされたのよ

愛する人を
失う度に

それらはますます
速度を上げる

人に何かを合わせる度に

いつしか私しは
発言権すら奪われたのよ

女王としての
自尊も誇りも

いつしか全てを
壊されていた

強いフリなど
したくはないのに

弱いフリした女などに
私しは決して
成りたくはないから

鉛の心を抱えたままで
私しは静かに
鎮座したまま

心の奥では処罰している
心の奥では処刑している

―心の奥では
―許しているのに

騎士は私しを
二度と護らぬつもりなの?

飛び出して行った人々は
二度と帰らぬつもりでしょ

―貴方が
―帰れば良いのに…

鉛の心を隠したままで

いつ
それが落ちて割れるかも
解らないまま

燕すら
尋ねてこない

そんな城に
一人で居るのが

私しの運命だと
人々は言うのだろうか?

―あの方が
―帰って来て下されば

高台から見渡した風景が
今だに消えない


貴方ともう一度だけ
彼の地で願いを開けるなら

きっと私しは
願うのでしょう

―もう二度と
―一人にしないで…

鉛の心臓が重過ぎて
女王は今宵も虚ろ

貴方はどこに
居るのだろうか

貴方は誰を
思うのだろう

姫は既に
女王と成りましたが

騎士を思うは
変わりはしない

姫は既に
こちらには
おりませんが

おられませんが

『雨のち晴れを待とう』

雨のち晴れを
待っているんだ

雨降って地固まる
そんな結末を待っている

だけど

毎日 毎日
土砂降りの雨

寒いと呟いても
肩を抱く人は欠席

永久欠席されたなら

私の地面は
流れるだろうか?

あの日 あの時 あの場所で
二人が出会った事は

悪夢の始まりだなんて
思いたくないままだ

いくら
貴方を忘れて
次のステップ
踏もうとしても

雨足が強まるだけで

ついつい
貴方を待ってしまう

傘もないからずぶ濡れで
弱い地の土は流れてしまう

心がここにある限り

私はいつまでも
悩み苦しみ

耐えるでしょう

貴方の足音
雨音に消されぬ様に

貴方の心が
私を探してくれます様に

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