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『あの子、捕まらない』

いつも一緒のあの子は
遥か遠くて
捕まりません

今まで一緒のあの子は
遠くに行っちゃって
捕まりません

久しぶりのあの子は
時間が無いから
捕まりません

よく遊んでるあの子は
忙しいのか音も無く
捕まりません

独りぼっちの鬼ごっこ

独りぼっちのかくれんぼ

どこにも行けずに
漂ってます

『優しい道化』

「眼は開いているかい?」

「ああ
開いてるよ」

過去に出会った出来事

再燃した災の火が
私を包んで

また…繰り返している

「見えている?」

「ああ
見えているよ」

何度となく繰り返し

違うのは
物語を作る駒だけだ

「幸せは見えるかい」

「…見えないよ」

そう告げ

私はまた
優しい道化を抱いた

柔らかい

徐々に温もる

優しい道化

笑顔の底では
何でも知ってる

私の痛みを
全て知ってる

『夜明け前』

夜明け間近
カラスの鳴き声
虫の鳴き声

眠れぬ夜に
別れを告げて

眠れぬままに
泣き濡れたなら

アナタの面影
アナタの思い出
忘らりょか

脳裏にこびり付いた

小さな光は
アナタでしたから

夜明けの光が眩し過ぎ

私はまた
不眠のまま

有りもしない四肢を
抱くつもり

二度と
抱いてはいけない四肢を
抱いたつもり
抱いた つもり

『満ち引き』

独り 黙して海を見ていた
寄せては返す

そんな波と砂浜

引き潮の刻
砂浜は淋しくはなかろうか

残り香の様に
小蟹が歩く

思い出の様に
貝が呼吸する

戻らぬ波を
思い出すなら

海の水は涙と同じ?

寄せては返す

寄せては返す

砂浜を抱いた海は

引き潮となり

私の砂浜は
カラカラと乾いて逝のみ

『奪われた灯りへ』

何より頼りにし
作られた暗闇の中
一人で歩いていたんだ

微かで弱々しい灯り

何より便りにし
よく見えない闇の中も
一人で歩いていけたんだ

それは
微かだけど
確かな
灯りが居てくれたから

横から
灯りは奪われた

唖然とする間もなく

世界は深い闇に抱かれ
私は
前も後ろも
右も左も
上も下すらも
解らなくなった…

騙し騙し

偽りの灯り頼りに歩けど

つまずき転び

擦り剥いた傷は
膿んだらしい

しかし

灯り無き今
それすら解らず

灯りを探し
泣き叫んで
灯りを呼ぼうとも

この世界に灯りはもう無く

未練すら
蝋燭のようにチリチリ揺れ
私は

ただ
独りフラフラと
どこへ行くかも知らずに
歩いているんだ…

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